合成洗剤史

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    1932年P&Gから世界初の家庭用合成洗剤「ドレフト」が発売されて19年後の1951年、日本の合成洗剤が登場した。石けんvs合成洗剤の闘いは、1956年にライオン油脂から発売された台所用洗剤「ライポンF」にまでさかのぼる。

    ライポンFが発売された1956年は「もはや戦後ではない」といわれ、高度経済成長期が始まったばかりくらいの時期である。当時アメリカ小麦戦略まっただ中、日本じゅうをアメリカ資本の入ったキッチンカーが砂ぼこりをあげながら爆走し、栄養士さんたちが日本人にもっとバランスよくおかずを食べよと、それまで辛い漬物だけでどっさりめしを食べていたノーおかずの日本人に動物性のたんぱく質や脂肪など栄養ゆたかな料理を伝導した。

    そんな食生活の急激な欧米化から生野菜の寄生虫や農薬、油汚れへの対応が急務となり、業界新聞で行われた厚生省や洗剤メーカーの座談会をきっかけに、わずか3カ月のあいだに日本食品衛生協会の推奨第1号品として食器・野菜洗い洗剤ライポンFは世に出た。そんなある日、東京都衛生研究所臨床試験部長・柳沢文正(1912〜1985)は、胃腸の調子の悪いとのことでキャベツのしぼり汁(キャベジン)を飲むように言った女性が、その後胃腸の調子はよくなったけど肌が荒れ疲れやすくなったことを不思議に思った。

    聞くとキャベツをひと晩ライポンFの溶液に漬け込んでいたというので柳沢先生がライポンFとは何ぞや、と買ってきて調べてみた結果、アルキルなんとかかんとか(ABS)がすごい体に悪いことが判明した。ちなみに柳沢先生は合成洗剤告発の他にガン患者の血液が酸性なのでアルカリ性食品の酢が体にいいっていう健康法の本を出す一面もあったようだ。

    そして翌1962年には誤飲事故が起こった。YouTubeのCM動画で見たバージョンは液体だったけど、これは1959年に発売されたものでそれまで粉末のみだったようである。

    この粉末状のライポンFを粉ミルクの缶に詰め替えていたため奥さんがミルクと間違えてライポンFを作ってしまった。それを赤ちゃんが間違えて飲むと思いきや、嫌がって飲まなかったのでおかしいと口をつけた父親が死亡した。

    この誤飲事件は遺族が国とメーカーを訴えたけど、けっきょく1967年に合成洗剤が原因と認められないとの判決が出た。しかしそのかんに、合成洗剤排除運動がかなり過激化したらしい。

    そうした運動の影響もあるのかどうか、70年代にはABS=ハード型洗剤はLAS=ソフト型洗剤にとってかわられるようになった。しかし今度は洗濯洗剤に含まれるリンと水質汚染(富栄養化、赤潮)の関係が疑われ、80年代からは洗濯洗剤の無リン化が進んだ。

    ・・・というのが前回までのあらすじである。その後どうなったかというと、昔は公共広告機構あたりで水質汚染のCMとかよくやってたがここ20年ほどは環境といえば温暖化だし、石けん運動を盛り上げていた日本消費者連盟も香害とか共謀罪とか言っててネタギレ感が否めない。

    だがそのいっぽう、石けん自体は安くて良いものだと自然派以外にもファンが多かったり、経皮毒、化学物質過敏症、胎盤からシャンプーの香りなど、真偽は不確かながら合成洗剤追放運動をベースにしたと思われる説がごく一部で既成事実化するなど、その影響が完全に失われたわけではないようだ。ただこの場合一部の助産院や美容院、ロハス野郎、マルチ商法などのあいだでクチコミ的に広がっているようで、その都市伝説感において三一新書あたりが表紙に洗剤の写真載せまくっていた60〜70年代の消費者運動に比べるとそのノリはやや異なる。

    例として戦後は化学物質などで環境や人体が汚染されまくっているけど欧米化する前の日本はよかった、と、科学を否定し日本の精神性(お米、風呂敷、打ち水、モッタイナイ等)を礼賛するノリになっていくのはロハスにもありがちな奴である。今や三一新書の継承者はアべ政治許さない精神を炸裂させてる日本消費者連盟でも週刊金曜日でもなく、むしろ「ニッポンだ〜いすき!」な美健ガイド社なんだろう。

     

    環境汚染 合成洗剤(YouTube)

    https://www.youtube.com/watch?v=9xOm1zQ4tjk

    「私たちが、日常なにげなく使っている合成洗剤。その洗剤が自然を破壊し、人体にも被害を与えて、大きな社会問題にまで発展しています」

    今にもふしぶしの皮が破れて出血しそうなすごい手荒れの写真にギャアアーとなった。しかし私、とある歴史あるオリーブ石けんが体に合わなかったので手洗いに使ってたとき、これに近い状態にまで荒れたことがある。

    その前にもオリーブオイルで荒れたことがあるので、石けんというよりオリーブオイルが合ってないのかもしれない。なのでこんな怖い写真見ても、自然だから石けんだからお肌に優しいとは限らないョ。と思ってしまう。

    瀬戸内海の赤潮!って、なぜかこのくだりだけ画面全体が赤くなって赤潮なのかどうかよくわからぬ。

    「つぎの実験を見てみましょう。石けん50ppmが入っている水槽の中で、アユとフナは元気に泳いでいます。いっぽうの水槽ではLASを石けんの10分の1、5ppmのうすい濃度にしてアユとフナをはなしました。およそ1時間後、まずアユが呼吸不能になりました」

    合成洗剤の水槽に入れられたお魚さんたちのあまりにも苦しく恨めしそうな断末魔の表情にガクブル。この2つの水槽にそれぞれ合成洗剤と石けんを入れてお魚さんたちを放つ実験はひろく石けんの優位性の根拠となっているらしい。

    「本来、川や湖の中のリンや窒素などはバクテリアやプランクトンを増やし、それを魚が食べて育つ、いわゆる自然の浄化作用によって水を美しくたもっているのです。ところが最近住宅や工場が密集してきたため、合成洗剤のリンなどを含む栄養がある排水が増え、自然の浄化作用では浄化しきれない、いわゆる富栄養化となり、赤潮やアオコが発生し社会問題に発展したのです」

    「そのためメーカー側ではいち早くリンを使わない無リンの合成洗剤を開発し、無リンは無公害であるかのようにテレビなどで大々的に宣伝しています」

    60年代はライポンFなど食器洗剤のABSの人体に与える影響が柳沢先生から告発されたが、やがて使用されなくなり、今度は洗濯洗剤のリンが水質汚染の原因としてやり玉に上がるようになった。今でも細々と存在する合成洗剤を追放して石けんを使おうってな運動は、洗濯洗剤が無リンになる前の70年代にその起源が求められる。

     

    合成洗剤が引き起こす人体への悪影響 マウスの実験(YouTube)

    https://www.youtube.com/watch?v=2-h5leeb_3g

    「合成洗剤は口や皮膚から血液に入り、肝臓、脾臓、腎臓などに障害を起こします。このところ増えてきたアトピー性皮膚炎は遺伝的に出やすい体質とされていますが、合成洗剤による母親の肝臓の障害が原因ともいわれています」

    合成洗剤が口や皮膚からしみこんで内臓に悪さするっていうのは、現代の経皮毒とか胎盤からシャンプーの香り説に受け継がれていると思われる。アトピーの原因も公式には分かってないと思うのだが、戦後に患者が増えたことから一部では合成洗剤や添加物との関係がほのめかされている。

    「なかでもシャンプーは、ASがもっとも多く含まれています。皮膚に浸透する力が強いASを頭にすりこむのはどうでしょう」

    どうでしょうと言われてもどうかわからんけども、ともかくこのシャンプーに恋コロンって書いてるのが気になった。あとこの前のシーンで閲覧注意な肌荒れ画像をバックに、おむつにしみこんだ合成洗剤がおむつかぶれを起こすので石けんにきり変え・・・みたいなくだりがあったので、この動画まだ布おむつの時代なんだな。

    「一部の避妊薬には合成洗剤と同じ成分のものが使われています」

    私はティセラ世代なので前述の恋コロンシャンプーは全く知らないのだけども、マイルーラはよく雑誌広告で見かけたので懐かしい。当時私が読んでいた雑誌、ぴょんぴょんとかレモンに避妊薬の広告が載っていたと思えないので、やっぱり回し読みだったエルティーンとかルナティーンみたいなエッチ系の雑誌だったんだろうか。

    マイルーラはやっぱり三一新書あたりで二重盲検法の必要性やフッ素危険説を訴えていた高橋晄正が批判しており、2001年に製造中止になった。タンポンしかり、こういう女性器に何か入れる系って昔は結構ポピュラーだったと思う。

    マイルーラと障害、流産の関連について私は分からないけども、三一新書あたりが告発していた高度経済成長期をピークとする公害や薬害は全体的に赤ちゃんの被害が目立つ。森永ヒ素ミルクが一番有名で、そのほかにも胎児性水俣病、サリドマイド児とかカネミ油症の黒い赤ちゃんとか、あとライポンFの誤飲ももとは粉ミルクの缶に洗剤を詰め替えていたのが原因だし、公害じゃないけど病院出産がポピュラーになり始めて取り違えが起こったりとか、日本が豊かさを享受するかげで多くの赤ちゃんも急激な変化のなか犠牲になった。

    そんな時代があったからこそ、製薬、洗剤、化粧品メーカーはおのれの金もうけのためなら人体や青いお空を汚してもええんかいっていう、三一新書的市民運動も存在意義があったのだ。しかし今や、大企業を批判する奴は左翼ということにくわえて、何か怪しい陰謀論にとりつかれてるオカルト野郎やマルチ野郎くらいにしか思われていない。

     

    15年ぐらい前に避妊でマイル−ラを使っていましたが最近、売っていない様な気がします。もう売っていないのですかね?(Yahoo!知恵袋)

    https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1118476991

    ベストアンサーに選ばれた回答

    backyard117さん

    2008/8/1712:38:56

    1983年5月の発売、2001年3月製造中止。になっています。

    その経緯については

    マイルーラは主成分をノノキシノール(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(非イオン系界面活性剤のひとつでいわゆる合成洗剤)とする膣用避妊薬で女性が性交渉前に膣に挿入し、侵入した精子を溶かして殺す殺精子剤です。女性週刊誌で大量宣伝し、手軽に入手できることから、女子高校生や中学生にも使用が及びました。1983年、日本消費者連盟と「薬を監視する国民運動の会」の高橋晄正さんがマイルーラの毒性を調査、告発し、朝日新聞に掲載され社会問題化しました。
    ・・・
    これらの問題はきれいな水といのちを守る合成洗剤追放全国連絡会や、厚生省交渉実行委員会などの運動に広がり、マイルーラの毒性を考える会が結成されるなど大きな社会運動に発展しました。しかし期待に反し、会社は強気で販売を中止しませんでした。
    そんな中、1986年にアメリカでの殺精子剤裁判(ノノキシノールと同系列の非イオン界面活性剤であるオクトキシノールを使用し、口蓋裂、右手の異常、左手の欠如、左鎖骨形成不全、等を伴った女児が誕生し、製造販売をしたオルソ社を告訴。)で、地方裁判所も連邦裁判所も因果関係を認め賠償命令を出しました。
    新たな問題として浮上してきたのが環境ホルモン作用です。主成分のノノキシノールは体内で代謝されノニルフェノールになります。これは化学工業製品や農薬に含まれる環境ホルモンとして知られていますが、体内で内分泌かく乱作用を示すなど大問題となりました。運動団体の指摘で当時の厚生省もようやく重い腰を上げ、大鵬薬品にマイルーラの主成分のノノキシノールの代謝実験を命じました。
    市民運動や内部の労働組合の運動、殺精子剤裁判の判決、環境ホルモン問題などを通じ、最高の売上げがあった販売初期に比べ約3分の1に売上が落ちこみ、ついに大鵬薬品は2001年3月に坂売中止を表明しました。

     

    ところで先日ブログで紹介した日本消費者連盟の香害110番の続報、200件以上相談が集まりやはり行政やメーカーへ働きかけがなされるらしい。また合成洗剤を入れた水槽お魚さん死ぬって言ってたシャボン玉石けん社も同様のアンケートを実施していたとのニュースもついでに見つけたので、人工的を毒と見る石けん運動が柔軟剤ブームの今「香害」という概念に活路を見出していると思った。

     

    人工的な香料が原因で体調不良に 「香害」に切実な声(8月15日 ライブドアニュース)

    http://news.livedoor.com/article/detail/13474417/

    香り付きの柔軟剤が人気を博している。しかし、柔軟剤制汗剤などに含まれる人工的な香料が原因となり、体調不良になる人たちも増えているようだ。日本消費者連盟が7月26日と8月1日の2日間、香りに関する悩みを聞く電話相談「香害110番」を実施したところ、全国から213件の相談が寄せられた。9割以上が女性からの相談だった。
    ・・・

    人工的な香料が原因で体調不良を引き起こすことを「香害」と呼ぶ。誤解されがちな点だが、香害に体臭は含まれない。

    ・・・

    香害に悩む人たちにあらわれる症状は様々だが、頭痛、吐き気などの症状が持続するため、それまでの生活が困難になることもある。中には、化学物質過敏症と診断される人もいる。寄せられた相談には「これは公害問題だと知らせて欲しい」という訴えもあった。

    日本消費者連盟は今後、行政、メーカーへの働きかけを行なっていくという。

     

    「香害」で吐き気や頭痛を経験したことがある人の割合は?(8月17日 exciteニュース)

    http://www.excite.co.jp/News/column_g/20170817/Cobs_1660730.html

    シャボン玉石けんはこのほど、「香りに関する意識調査」の結果を明らかにした。同調査は7月15日〜20日、20代〜60代の男女598人を対象にインターネットで実施したもの。

    同社によると近年、「洗濯用洗浄剤の匂い」に対する相談が国民生活センターに多く寄せられているという。「香りで吐き気がする」「柔軟剤のニオイで気分が悪くなる」といった相談内容だが、このように人工的な香りによる健康被害(めまい・頭痛・吐き気といった体調不良など)が「香害」と呼ばれていることを知っているか尋ねたところ、61%が「知らない」と回答した。

    他人のニオイ(香水や柔軟剤、シャンプーなど)を不快に感じたことはあるか聞くと、79%が「ある」と答えた。

    これまでに人工的な香りをかいで、頭痛・めまい・吐き気などの体調不良を起こしたことがあるか尋ねると、51%が「ある」と回答した。

    ・・・


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