ロハスと薬害

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    薬、フッ素、ワクチン、食品添加物、界面活性剤(一般的な洗剤、化粧品、シャンプー)とからへん嫌いな人がもはやロハス野郎同然みたいに思われる風潮があり、そういうのが批判されるのを見るたび、でも昔はそういう運動もスピリチュアルと関係なかったと思われ。と、幼き日の記憶を回想するうち三一新書や日本消費者連盟の存在を思い出した。三一新書と日本消費者連盟にかんしては何度か書いているので省略するとして、なぜ反「薬、フッ素、ワクチン、食品添加物、界面活性剤その他」が精神世界や自然派と関連付けられるようになったかを考えるうえでわが歴史観ではなんとなく80年代が分岐点な気がしている。

    三一新書とかでアリナミンやフッ素や予防接種やマイルーラを批判していた高橋晄正も、やはり三一新書で洗剤とか化粧品が危ないって本出してた日本消費者連盟と途中まで歩調を合わせていたのが、下記引用によれば80年代に入ったころから日本消費者連盟が「素朴自然主義」におちいっているとして批判しはじめ、両者はやがてたもとを分かったという。素朴自然主義って言葉が意味するところは、科学的検証をへず自然とか昔の生活に近いといった要素を判断基準とする、現在自然派と呼ばれる人々にも受け継がれる反近代的思考であろう。

     

    高橋晄正の薬効の科学的検証と『薬のひろば』の活動

    http://www.r-gscefs.jp/pdf/ce10/ma01.pdf

    日本消費者連盟を批判するようになったのは、彼らが81年に出版した『食・農・医―生命 ― いきるために』という書籍が、自然物なら安全だという「素朴自然主義」に依拠していたこと、さらには竹内ら創立に関わった人たちの世代交代があったことなどによると述べている。

    国内の消費者運動は自然食などへの志向が強かった。化学的生成によらない自然物なら安全だという感覚的な判断を、高橋は科学的根拠に裏打ちされていない「素朴自然主義」という言葉で批判した。自然食を評価するには生物学・医学という個別科学の習得が必要だが、それがなされていないと指摘する。それは、科学への不信あるいは科学論争は難解で自分たちには判らないという態度によるものだと高橋はいう。消費者運動で科学的検証が重要視されなくなった。そのかわりに、反近代イデオロギーが消費者運動を主導するようになり、それ以前のものとは質的に異なっていったという。その帰結が「素朴自然主義」だと指摘する(杣津 1985 : 表紙3) 。

    他方、77年頃には「薬を監視する会」の里見宏(専門は公衆衛生学。国立予防衛生研究所などに勤務していた)が、 会員から運動が専門的になり過ぎたという批判があることを述べている。医師や科学者、ジャーナリストではない一般市民の一部は、自分たちから問題を提起できず、言われた通りに動くのみであるのを不満に思っていたという。科学偏重主義だという批判もあった(竹内ほか 1977 : 17) 。

    「薬を監視する会」を主宰した高橋は薬批判を展開する際に、薬効の科学的検証という方法に依拠した。高橋は、人体にとって「薬は原則的に毒である」という立場であった。そのため、厳密な科学的手続きによって治療が必要な患者を2つのグループに分け、一方には治療薬を、もう一方には偽薬を処方する二重盲検法をおこない、得られた結果を統計処理して薬効の有無を科学的に検証する「二重盲検のもとでの対照試験のデータの統計的解析」を生涯にわたって強く推奨した。薬剤が人体にとって少なからず害作用を及ぼすなら、投与する際には害作用があって もそれを上回る薬効がある確証を科学的に得なければならないと考えた。高橋はプラシーボ効果について以下のような見解を示している。

     

    「プラシ(ママ)ーボー(にせ薬)であろうが何であろうが、病気がよくなるならそれでいいではないか」という人がある。もちろん、医師が意識してプラシーボーを治療に利用することはありうることである。しかし、それは、 患者が心理効果の十分に期待されるような状態のもとにあり、それよりも良い治療法のない場合に限って“意識的”に使用することの許されるべきものであろう。それが“意識的”にではなく“無知なるがゆえに”用いられているときには、しばしばもっと有効な方法を見のがしていたり、あるいは有害であることを知らずに使っていたりすることだってありうるのである。(高橋 1969 : 241 - 2)

     

    臨床経験で得た経験値に医師が頼る「使った、治った、効いた」の「三た論法」による治療を、高橋は強く否定する。疾病が治癒したとしても、生体の自然治癒力によるものか、薬効によるものかを明確にできないからだ。科学的確証に基かない治療は、患者の人権をないがしろにしていると主張する。高橋が薬効の科学的検証を生涯にわたって推奨した意図の一つは、患者の安全を確保するためであったといえる。 また、高橋は日本消費者連盟と70年代には同調していたが、80年代初めには袂を分かち、 「素朴自然主義」に陥っていると同連盟への批判を繰り返した。

     

    素朴自然主義に陥る理由に、薬害運動などにおいて二重盲検など科学的検証を重視する高橋晄正および薬のひろばの論争が専門的すぎてよく分からないといった点があげられている。そして今でも自然派にかぶれるのは科学的リテラシーの欠如(科学とか難しいのでノリに走る)によるものと一般には信じられている。

    しかし当時と決定的に違うのは、科学的検証を重視する人々が高橋晄正および薬のひろばのような反薬害ではなく、むしろそのような運動をニューエイジ臭い素朴自然主義と同一視する傾向が非常に強くなったとこであり、かって左翼の専売特許だったはずの嫌韓がいつのまにかネトウヨと同義になっているのと同じレベルのややこしい逆転現象が時間の経過とともに起こっているのだ。ただそうした相違点がありつつも、同じ左翼的な考えを持つであろう人々が科学派と自然派の二手に分かれる現象はこの高橋晄正と日本消費者連盟の決別あたりに起源が求められると私は考えている。

    そして高橋氏が日本消費者連盟に見切りをつけた原因の1つが世代交代だったことについて、もしかして世代交代して出てきたのが船瀬俊介なのかしらん。と思った。船瀬氏はフリーメーソンとか波動医学とか不食とか言っている人で、もともと昭和50年代に日本消費者連盟で執筆活動していたらしい。

    また日本消費者連盟から買ってはいけないに通じる消費者運動とはまた違う、ミュージシャンや広告関係の影響力が強い今自然派の主流ヒッピー〜ロハスほっこり丁寧なくらしの系譜においては、反(近代的な)医療と密接に関係する反原発運動もやはり同じころに存在した。時期的に1979年スリーマイル島の原発事故が契機になったと思われるが、運動がある程度の規模になるにはチェルノブイリ原発事故の起こる1986年まで待たなくてはならなかっただろう。

    あれから数十年、今じゃ予防接種などにおける科学不信の論争が過熱しつつあるが、原発事故前だと同じたぐいの論争は原発容認か反対かってな話ばっかりで、そこでもニューエイジ的な人々が科学的知識が薄弱だとして問題視されていたものの、当時あまり医療は注目されていなかった。10年ぐらい前に薬害エイズで有名な川田龍平が出馬したとき左翼オールスターズだったけど、支援者に毛利子来なんかもいたのはとくに話題にのぼらなかったのである。

     

    川田龍平を応援する1分マニフェスト 毛利子来さん(YouTube)

    https://www.youtube.com/watch?v=LuiOvvN2Pig

    もう検査のしすぎ、病名のつけすぎ、薬の使いすぎ、予防のしすぎ。これでずいぶん大勢の子供や大人たちが被害を受けている。川田さんの時代よりもっとひどくなっていると思います。その典型がインフルエンザに対するタミフルですね。

     

    川田龍平ヒストリー後半 History of Ryuhei Kawada (2/2)

    https://www.youtube.com/watch?v=1EEi-_7OVIs

     

    くしゅくしゅソックス時代においてホモ、セックル感染だったエイズおよびHIVが薬害のイメージに変わったのは1995年に川田龍平が実名公表してからだろう。YouTubeを見るかぎり当時の支援者もやはり左翼オールスターズで、この10年後にロハスブームの中心的人物となる坂本龍一の姿も映像におさめられていた。

    Wikipedia見るとミドリ十字って製薬会社は731部隊とか右翼とか書かれてたし、厚生大臣として謝罪したのが菅直人ってとこからも、薬害エイズって右翼vs左翼ってな面もあったと思われる。ちなみに当記事は前に書いた「80年代」の続きなのだが、本題から話しそれてきたのでこの続きはまた今度書く。


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      • 2018.08.13 Monday
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