生協の牛乳

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    昔の自然派って今のロハスとちょっと違かったよな。と、幼き日のことをいくつか思い出すうちに振り返りたくなったロハス史コーナー。その代表例が牛乳で、2000年代以降はマクロビオティック人気の影響もあるのか牛乳はモー毒(体に悪い)ってわけで、豆乳や最近ではライスミルク、アーモンドミルクなど牛乳の代替物と思われる植物性の乳も年々充実していってるように見受けられる。

    しかし私が子供の頃はなぜか骨粗鬆症の恐怖とカルシウム一日600mgが叫ばれていたし、牛乳が体に悪いなんてたぶん誰も言っていなかった。昭和50年代にかけ高温殺菌牛乳の大規模な反対運動があったので、低温殺菌の牛乳がガチって話なら全然聞いたことがあるのだが。

    これは90年代初頭までの風潮であり、ちかごろの栄養素はグルコサミンだコンドロイチンだルテインだと多様化しているためべつだんカルシウムが注目されることもないし、現代の若人は高温殺菌牛乳モー毒説だってなじみがないだろう。高温殺菌牛乳モー毒説にくわえて三一新書あたりで食べ物(もしくは化粧品)の原価がいくらということがよく言われ、メーカーはもっと安く商品を提供するべきだという消費者運動もやはり同じ頃くらいまで存在していた。

    そうした運動の名残りはスーパーマーケットのプライベートブランド、また西友のプライベートブランドだった無印良品(初期の宣伝文句が「わけあって安い」)、プチプラコスメとして若い娘さんにも大人気なちふれ化粧品にわずかに見受けられる程度である。と、この話は以前にも書いたとおりなのだが、高温殺菌モー毒説よりまだ前にさかのぼると、昭和40年代にオバタリアン世代の奥さまがたを中心に牛乳にかんしても安く売れっていう運動が盛り上がっており、それが現在ある多くの生協の設立にも関係しているようだ。

     

    生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(Wikipedia)

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E9%80%A3%E5%90%88%E7%94%9F%E6%B4%BB%E5%8D%94%E5%90%8C%E7%B5%84%E5%90%88%E9%80%A3%E5%90%88%E4%BC%9A

     

    たとえばこの生活クラブっていう生協はWikipediaを読むかぎり国産、添加物、放射能、石けん、遺伝子組み換えとか言っててじゅうぶんに左翼でロハスなのであるが、「あゆみ」の項を見るとそのルーツが1965年牛乳の共同購入であるとわかる。その後70年代に米、卵、肉の産直や石けん運動が始まったり、1978年には「グループ・生活者」(現 生活者ネットワーク)なる政治団体が結成されるなど、年表だけでロハス史の変遷がなんとなくうかがえる。

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/B000J8F5E4/

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/4778312791/

    内容(「BOOK」データベースより)

    一九六五年、東京の片隅で、牛乳の共同購入運動が始まった。著者を中心とする数名の若者たちの試みだった。一九六八年、牛乳の共同購入運動は、生活クラブ生協へと発展した。やがて、女性たちの社会参加のエネルギーを背景に、生活クラブは全国に波及し、今や、三十数万人の組合員の大組織へと成長を遂げた。生活クラブの創立者である著者が、重層的な社会運動として生活クラブを構想した軌跡を、余すところなく語り下ろす。ここにこそ、日本における市民社会の成熟の証しがある。

     

    牛乳の共同購入を始めたのが岩根邦雄という人で、その妻である岩根志津子は世田谷区議だったらしい。amazonでは出てこなかったが、生活クラブの初期の出版物である「主婦の生協づくり 10万の主婦・10年の体験」(1978年)は石けん運動や原価の本とかもよく出してた三一新書である。

    またチベット仏教「チベット死者の書」地域通貨「エンデの遺言」などのドキュメンタリーがロハス界で有名な河邑厚徳監督も2009年に生活クラブにかんする本を書いており、amazonで見たら生活クラブ利用者なのか?池上彰と辰巳芳子が推薦文を書いていた。なお辰巳芳子の映画「天のしずく」(2012年)も河邑監督作品である。

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/4270005572/

    内容紹介

    食の安全と安心は他人任せにせず、自分たちで築くこと。
    そのために何ができるのか。
    答えのひとつが、ここにある。
    ――池上彰(ジャーナリスト)

    「一粒の麦が血に落ちて死なゝければ、一粒のまま残る。しかし死ねば、豊かな実を結ぶ」
    (ヨハネ福音書十二章)

    多くの生産者の姿はこの種粒と重なります。
    よき働きは、いのちの具現化。
    今、私たちはなにをもって一粒の種となりうるでしょうか。
    ――辰巳芳子(料理家・随筆家)

    ------------------------------------------------------

    ・・・・・書き始めたときは、生活クラブ生協の消費材なるものが
    本当においしいのかということには確信がなかったことだ。
    実際に食べていなかったからだ。
    偶然に、2009年4月、自宅のそばの世田谷経堂駅近くにデポーが誕生した。
    さっそく連日通ってたくさんの消費材を口にした。
    いやなものが入っていなくて、体の細胞が素直に喜ぶ感じがした。
    おいしいものが多かった。
    頭だけではなく胃袋も納得して、ようやくこの本が書けるようになった。
    (あとがき より)

     

    「消費財」とは商品、「デポー」とは店舗という意味だそうだ。しかしこの生活クラブ、ネットの情報を見ると生協の中で一番こだわりが強くそれだけ値段も高いらしい。

    草創期からかかわっている前述の岩根氏はフェアートレード(適正な値段でコーヒーを買うみたいな南北問題系の消費者運動)の映画の上映会に出席していたし、最初の牛乳を「安く」買うってコンセプトは途中でどっか逝ったと思われる。というか生活クラブに限らず、生協や産直に対して安いというイメージは特にわかない。

    主婦による牛乳安く買う運動が高度経済成長期以降の生協の設立とかかわっているためか、各生協とも独自ブランドの牛乳を売りにしているようだが、普通のスーパーで何のこだわりもない大手メーカーの牛乳買うほうが安いし賞味期限も長いし、安全性もそんなに心配するほどのことはないはずだと思っちまう。でも生協が設立されるほど牛乳を安く買う運動とか安全な牛乳を求める運動とかが盛り上がったってことは、昔の牛乳は高くて危険だったってことなのだろう。

     

    せいきょう牛乳のあゆみ(大学生協紹介)

    http://u-coop.net/service/study/019717.html

    大山乳業の誕生

    戦後(1946年)の食糧難の頃、小規模の酪農家の搾った原乳は、大手乳業メーカーが買い取る仕組みで、メーカーから乳質や数量のごまかしなどの圧力を受けていました。

    「このままでは、酪農を続けられない」と、鳥取県大山の酪農家は大手資本の圧力に対抗して、「自分達で製品にしよう」と、大山乳業農業協同組合の前身の組合を結成しました。
    苦しめられる酪農家

    市場には「まずい牛乳」ばかりが氾濫していました。当時、生産者と消費者は分断され、まずい牛乳が、牛乳の味だとされていました。

    牛乳の一滴は、牛の血の一滴がつくる事を肌で感じている酪農家は、自分たちの誇りをかけて、「ホンモノの牛乳を知ってほしい」と、大山の牛乳の販売先を模索しました。

    「健康な牛から絞ったまんまの牛乳を飲んで欲しい」ただそれだけの願いでしたが、大山乳業の思いはなかなか消費者には届きませんでした。
    ・・・
    ヤシ油混入の「牛乳」事件

    昭和45年(1970年)「牛乳」にヤシ油(ヤシの実からとれる安価な食用油)が混入されている?という疑惑が浮上しました。

    組合員の健康や安全を考える京都生協が、これを大きく取り上げると、大手メーカーは、京都生協への牛乳の出荷を停止したのです。その頃の京都生協はまだ規模も小さく、「牛乳が手に入るから生協の組合員になる」という人も多かった時代です。京都生協は困り果てました。
    ホンモノを求める人、ホンモノを提供したい人

     「ホンモノつながり」で、京都生協と大山乳業が出会い、牛乳の産直第1号「せいきょう牛乳」が誕生しました。そして、1978年10月から大学生協も「せいきょう牛乳」を取扱う事ができるようになりました。

    1996年に、某メーカーが地下水を混入した牛乳を成分無調整牛乳と偽った表示をして販売するという事件もありました。現在では、『牛乳とは生乳100%のもの』であり、それ以外は「加工乳」または「乳飲料」と表示することが義務づけられています。

    現在も、原乳の生産から、牛乳の製造、そして販売まで他社を入れずにトータルに管理できるメーカーはありません。

    これからも大山乳業と生協は、産直交流や、インターンシップなど様々な活動を通して、お互いの目線で考えあい、確認しあって「ホンモノ」にこだわり続けていく、産地直結活動を続けていきたいと思います。

     

    ヤシ油って英語に直すとココナツオイルってことじゃないのか?最近ココナツオイルが美と健康にいいって聞いたような気がするのだが、牛乳の水増しに使われていた安価な食用油だったのか。

    ホンモノという単語が何回も出てきたのでゲシュタルト崩壊しちまったけども、このホンモノ・ニセモノって概念は食の安全を考えるうえでけっこうよく出てくる概念な気がする。三一新書でも稲垣真実著「ほんものの日本酒選び」(1977年)、「これがコピー食品だ!―ニセモノ食品総点検」(1986年)、日本消費者連盟から「ほんものの酒を!」(1982年)「ほんものの牛乳がのみたい」(1985年)という本が出ているが、「ほんものの酒を!」の中の人は船瀬俊介だと思われる。(下画像参照)

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/4380820033

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/4806713112/

     

    牛乳の話に戻すと、60年代てスーパーでき始めくらいだろうし牛乳はビンを配達することが多かったので生協が宅配しているのもそれと関係あるのかな。と思った。また「ほんものの牛乳」でない混ぜ物したのは加工乳と表示するのが義務ずけられるようになったとのことで、逆にいうとそれまでそんなの書いてなかったし、なんなら加工食品の原材料とか賞味期限も表示してなかったんじゃないだろうか。

    昔の三一新書とかニュース映画見てるとそんな気がするし、カロリーや栄養表示にかんしては私が子供の頃でもカロリーメイトみたいな菓子くらいだった記憶がある。しかしこの前食べた菓子パン、原材料名にカステラって書いてたから「カステラって原材料か?」と思ったし、肉の産地表示なんかもややこしそうで、今現在でも原材料や原産地がすべてつまびらかになっているとは限らないことを考えると、生協や産直による生産者の顔が見えるのにも需要があるのだろう。

     

    40年のあゆみ - コープおきなわ

    http://www.okinawa.coop/aaa/web_ayumi027-037.pdf

    1972年、念願の日本復帰が実現した沖縄では、 消費生活協同組合法が適用されるようになり、 次々と生協が生まれました。しかし、復帰に伴う 「ドルから円」への切り替えは、社会的な混乱を招きました。その後、石油ショックや沖縄海洋博など影響をうけ物価は高騰、失業者が増え、県経済はさらに厳しくなりました。また、有害食品の氾濫や公害などの生活環境の破壊もすすみ、県民の生活は大変苦しくなっていました。 このような中で「安全で安い商品を自分たちの手で」「子どもたちにホンモノ牛乳を」の声が、 豊見城団地や首里の主婦を中心に広がり、生協づくりが始まりました。琉大生協などの支援を受けながら、1975年6月10日「沖縄南部市民生活協同組合設立準備会」が主婦を中心に80人で結成されました。

    ・・・

     

    石けん運動同様、牛乳の共同購入など生協が成長した背景には、のちのオバタリアンとなる奥さまたちのパワーがあった。しかし専業主婦は環境破壊源であるモーレツ社員の収入に頼っているという矛盾も抱えていた。

     

    [昭和52年3月] 中日ニュース No.1208 2「物価高に挑戦」(YouTube)

    https://www.youtube.com/watch?v=Y9tHeh91emk

     

    この動画、白黒なので古いと思ったけど昭和52年なのでそうでもなかった。前半は野菜などを安く買うため主婦が駆り立てられた東都生協という世田谷の生協の映像。


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      • 2018.05.28 Monday
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