失われた身体技法

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    南伸坊,黒川創,富岡多恵子,海老坂武,塩沢由典,森まゆみ,安田常雄,吉岡忍,粉川哲夫,酒井隆史,上野俊哉,川本隆史
    青土社
    ¥ 1,620
    (2015-09-14)

    日本人は何をめざしてきたのか 知の巨人たち 第6回 石牟礼道子(YouTube)

    https://www.youtube.com/watch?v=UA35VnzZ-3Y

    「海と空のあいだに」と題され雑誌「熊本風土記」に連載された原稿。それがのちにまとめられ昭和44年に「苦海浄土」として出版されました。この雑誌の編集者だったのが渡辺京二さんです。渡辺さんは初めて石牟礼さんの原稿を目にしたときその才気あふれる文章に驚きました。そして編集者として支えることを決めました。それから半世紀にわたって渡辺さんは石牟礼さんとの交流を続けています。渡辺さん自身も石牟礼さんとともに歩むように執筆活動をしてきました。代表作の「逝きし世の面影」では日本が近代化で失った文明の姿を描きました。自然の営みや人々の暮らしの中から言葉を紡ぎ出す石牟礼さんは日本近代文学の中で他に例を見ない作家だと渡辺さんは考えています。

     

    https://bookmeter.com/books/405796

     

    「逝きし世の面影」渡辺京二著

    http://feb27.sakura.ne.jp/book_n_h06.html

    『逝きし世』とは何か、著者は冒頭の三行目に提起している。

    「日本近代が古い日本の制度や文物のいわば蛮勇をふるった清算の上に建設されたことは、あらためて注意するまでもない陳腐な常識であるだろう。だがその清算がひとつのユニークな文明の滅亡を意味したことは、その様々な含蓄もあわせて十分に自覚されているとはいえない。十分どころか、われわれはまだ、近代以前の文明はただ変貌しただけで、おなじ日本という文明が時代の装いを替えて今日も続いていると信じているのではなかろうか。つまりすべては、日本文化という持続する実態の変容の過程にすぎないと、おめでたくも錯覚して来たのではあるまいか。

    実は、一回かぎりの有機的な個性としての文明が滅んだのだった。それは江戸文明とか徳川ぶんめいとか俗称されるもので、十八世紀初頭に確立し、十九世紀を通じて存続した古い日本の生活様式である。」

    最近、江戸時代の見直しが始まっている。明治維新は、江戸時代の否定に始まった西洋化運動である。西洋化によって失われてしまった江戸文明の姿を、欧米人の日本見聞記などを丹念に分析することによって復元している。

    江戸時代の日本は、人口 三千萬人の世界有数の大国であった。しかも、生活必需品は自給自足で賄われており、社会の隅々までリサイクルが行われていた。また、美しい自然と共生している時代でもあった。


    この本は、多くの西洋人によって「エデンの園」ではないかと感嘆せしめた、人々の礼儀正しさ、風景の美しさなどが、丹念に描き出されている487頁にも及ぶ大作である。

     

    キャンドルナイトやブータン幸せ説を世に広め最近では江戸東京博物館でソーヤー海などと江戸の知恵語ってるらしいナマケモノ倶楽部の辻信一も、スローライフとか言う前に水俣病の本を出していた。これ↓は中身ほとんど水俣病認定申請患者協議会会長だった緒方正人の語りだったと思う。

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/490638840X

     

    日本人は何をめざしてきたのか 知の巨人たち 第6回 石牟礼道子(YouTube)

    https://www.youtube.com/watch?v=UA35VnzZ-3Y

    昭和50年。水俣病をめぐる新たな問題が起こりました。水俣病の認定を申請している人のなかには補償金目当てのニセ患者が多いと熊本県議会の議員が発言したのです。これに認定を申請していた人たちが猛反発します。県議会に出向き謝罪を求めました。そのときの混乱で申請者と支援者4人が逮捕されました。

    緒方正人さん61歳。逮捕された4人のうちの1人です。当時みずからの認定を申請していました。緒方さんは不知火海で代々続く漁師です。

    緒方さんは6歳のときに網元だった父親を劇症の水俣病で亡くしました。甥と姪は胎児性水俣病です。みずからも手足のしびれに悩まされていました。当時父親のかたきを討ちたいと患者運動の先頭に立って活動していました。石牟礼さんと最初に出会ったのは逮捕後、公判手続きで裁判所に入ろうとしたときでした。

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/4087813436

    辻 それにしても、あの『逝きし世の面影』に出てくる子どもの姿は印象的ですね。日本人の子どもほど幸せそうな子どもは見たことがないという外国人訪問者たちの感慨がいっぱい描かれています。いつもニコニコとうれしそうに笑っている子どもがいる。そして、もう一方に、根っからの子ども好きの大人たちがいる、という構図。ぼくには、そんな男の姿もすごく印象的でしたね。とにかく、男たちが、子どもといっしょにいることをすごくよろこんでいる。

    ところが、いまはどうでしょう。大人、とくに男たちは、まったく子どもに目を向けませんね。電車の中でも、住宅街の路地でも、目を合わせることもしない。そういう環境で育っているから、いまの日本の子どもたちというのは、もう何物にも反応しなくなっているんです。コミュニカティブな身体じゃなくなっているんですね。自分からは発信もしないし受信もしない。

    身体レベルでのコミュニケーションがないんですね。江戸しぐさというのが本などで話題になりました。どんな社会にいても、ぼくたちは、身体からいろんなメッセージを発信しながらコミュニケートしているわけじゃないですか。言葉にならなくても、小さな会釈であったり、目つきや視線であったり……。

    ところが、いまの子どもたちはもちろん、けっこう高齢の大人たちに至るまで、みんな、身体がまるで目に見えない膜に覆われているみたいになっている。あれは、満員電車で鍛えられるのかな。満員電車の中でいろんなコミュニケーションが発信されていたら、まずいことになりますからね。一時的に、コミュニケーションしない身体を作らないといけないわけで……。

    (辻信一・三砂ちづる「だきしめてスローラブゆるやかにしなやかに男と女の性と愛」178〜179ページより)

     

    スローライフなどをテーマにした本をハイペースで出してるのは2000年代のロハスブーム以降であり、検索で分かる限りでは1977年より北米に渡り、80年代初頭には辻信一というペンネームの名付け親である鶴見俊輔の雑誌「思想の科学」に寄稿しており、1984年に思想の科学社からたぶん初めての著書「ヒア・アンド・ゼア 北米大陸ホーボー通信」を出している。何か書いてたかはまったく覚えてないけど、80年代ごろの辻氏は在日をけっこう前面に出していたように思う。

    80年代は指紋押捺反対とか在日2世を中心とした民族運動がさかんだったし、辻氏と関連の深い鶴見氏やデビッド・スズキ(セヴァン・スズキの父親)が戦争中に収容所に入っていたことをふまえると、昔は環境より民族や国籍がテーマだったのかもしれない。Wikipediaによると鶴見俊輔はカルロス・カスタネダを日本に紹介したり、ヤマギシ会の協力をえてベトナム戦争の脱走兵かくまってたとかだけど、そういえば公害原論の宇井純もヤマギシ支持してたってな話があった。

     

    『農業が創る未来 ヤマギシズム農法から』の読後感想

    http://logos-ui.org/book/book-18review.html

    渡辺 操  

    師走に入り、そのしめくくりに『農業が創る未来 ヤマギシズム農法から』村岡 到様の御著書、お贈りくださいましてありがとうございました。早速、まえがきとあとがきを拝読して、感動して一気に一冊を拝読しました。理想社会をつくる農業の立場から「人間の根源的営みである」とのこと。かつて1960年代に思想の科学やユートピアの会で鶴見俊輔様が全人幸福社会づくりの一かんとしてヤマギシ会の中で文章が書ける人がいるでしょう、その人に書いてもらって世の中へ出したら良いと言われていました。村岡様がその役割をになってくださり大変たのもしく感じました。

     

    第4章 昭和元禄のサイケブーム 1968

    http://amanakuni.net/pon/hippie/5.html

    意識革命の最強にして神聖なる武器であるLSD(アシッド)を、日本に持ち込んだゲイリー・スナイダーは、「部族」のメンバーをテストし、パーティのガイドを任せられる人物を何人か選んだ。
    LSD教祖ティモシー・リアリーから日本用に預かった“LSD 25”は、ホフマン博士伝来のオーガニックな半合成で、緑色の粉末だった。ゲイリーはそれを薬剤用カプセルに詰め分けた。京都のゲイリー宅でその作業を手伝った私は、満タンのものから微量のものまで、相当量のカプセルを貰い、そのLSDを使ってコミューンの仲間たちと、数多くのアシッド・パーティを催した。

    ・・・

    鹿児島での祭りの後、私は再び諏訪之瀬島へ戻ったが、ベトナム戦争から脱出した3人の米兵が一緒だった。
    ベトナム戦争は泥沼と化し、アメリカ国内ではヒッピーのフラワーパワーが爆発、日本でも「ベ平連」が組織され、積極的な平和運動を展開していた。しかし「部族」をはじめ、わが国のヒッピーたちは「ベ平連」のデモには参加せず、政治的次元での運動を極力避けて、文化的ラディカルを追求していた。
    「部族」と「ベ平連」との関係は、ゲイリー・スナイダーと鶴見俊輔氏との個人的友情によるもので、脱出米兵を諏訪之瀬島に匿う件も、いわば「義理と人情」次元での協力だった。
    ・・・

    積極的な反戦運動はしなかったが、私たちにも殺戮を拒否して脱出した米兵に対する敬意はあった。ところが匿った3人は反戦思想など持ち合わせがなく、上官暴行でやむなく脱出したゴロツキだった。だから腹がへれば台所をうろつき、肉が食いたくなれば包丁を持ってニワトリを追いかけ回した。ひどい連中だった。

    こんなガキ共のために日本中の活動家たちが、身ゼニを切って救援活動しているのかと思うと、心底あほらしくなった。彼らに同伴したベ平連の活動家阿奈井文彦氏も同意していた。もちろん我々の所へ来た3人が最悪で、中には良い連中も沢山いたようだが。
    ・・・
    新宿騒乱のニュースを聞いて諏訪之瀬を出た私は、信州へ行く途中、京都のゲイリー宅に立寄り、初めて鶴見俊輔さんに会い、同志社大学の「ベ平連集会」に誘われた。あまり気は向かなかったが、「何でも一度はやってみよう」という主義なので、参加を約束した。

    ・・・

     

    上記引用によればビート詩人ゲーリー・スナイダーと鶴見俊輔の個人的友情により、脱走兵が3人ほど「部族」にかくまわれていたこともあったらしい。LSDを日本に持ち込んだゲーリー・スナイダーと日本初の大麻取り締まられた山尾三省この2人の詩人は諏訪瀬島でコミューンをやっていたしもちろん地球も好きだった。

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/4787713825/

     

    水俣病の写真↑で超有名なユージン・スミスの本を翻訳していた中尾ハジメはWikipediaに「写真家・反核運動家のアイリーン・美緒子・スミス(ユージン・スミスの妻だった)は元妻」って書いてて、この3人どういう関係なんだろう。と疑問に思った。中尾ハジメの弟はゲーリー・スナイダーの本などを訳していた詩人の片桐ユズルである。

     

    片桐 ユズルさん|証言|NHK 戦争証言アーカイブス 戦後日本のあゆみ

    https://cgi2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/postwar/shogen/movie.cgi?das_id=D0012100085_00000

     Q:「思想の科学」にですね、最初関心持たれて、どういう活動といいますか、なにかサークルに入られたんですか?

    あのね、鶴見俊輔さんがね、その頃東京工業大学で研究室がありましたね。俊輔さん、そこで教えてた。それで、そこで「思想の科学」の研究会の、何の会だか、毎月かなんかありましたね。そこへ行きました。

    それまでね、日本の学会っていうのはね、ドイツふうの考えが多くて、あるいは文学界はね、フランスふうの考えが多くてね、それでドイツ語とかフランス語からの発想が多かったわけですよ。私は、うちの親父が英語の教師をしていたということもあったり、わりにそういうんじゃなくて、英語のほうから入ったというか、英語だと分かりやすいんですよね。それで、そうすると「思想の科学」は、アメリカから来たじゃないですか。だから英語系の考え方なんですよね。それが私にはとっつきやすいと思った。というか、そういうものを求めてたわけ。ドイツでもなくて、フランスでもなくて、それで日本は駄目だから。これは駄目に決めてたから。

    Q:日本は駄目っていうのはどういうことですか?

    だから天皇制とかさ、なんとか、それまで戦争、めちゃめちゃなことをやってきた、そういうのがいわゆる日本精神とかさ、大和魂とかさ、日本の伝統とかさ、そういうものが戦争にずっと私たちを引っ張り込んでいったと思ってましたから、だから日本は駄目なの。非常にシンプルに考えていました。

    だから日本は大バツ、だったんです。ところが、それに転換が起こったのはね、鶴見さんなんですよ。鶴見さんがね、柳田國男のことを紹介した。それで柳田國男がいろいろ研究した、それはやっぱり日本のいいことだったりするわけでしょう。そうか、というわけで、見直しはそのへんから始まったわけですけど、私にとって。

     

    逃亡する高橋克也容疑者のカスタネダとチベット死者の書 --- 島田 裕巳(2012年06月10日 アゴラ)

    http://agora-web.jp/archives/1463506.html

    オウム真理教の高橋克也容疑者は、10日朝の時点でも逃走中である。報道では、彼の部屋から防犯ビデオにかんする本が出てきて、いかに逃げ通すか周到な準備をしていたと伝えられているが、もう一つ、彼の部屋から発見されたものがあった。これについては一部でしか報道されていないが、彼のこころのうちを考えるには重要な資料になりうるものである。

    それは、精神世界に関連する数冊の書物である。具体的には、カルロス・カスタネダの『呪術の体験』、『夢見の技法』、そして『チベット死者の書』の解説書などである。私もまだ、どういった本を彼が持っていたのか、すべてを掌握しているわけではない。
    カルロス・カスタネダは、ブラジル生まれの人類学者で、1968年に刊行された『呪術/ドン・ファンの教え』が、彼がいたアメリカだけではなく、世界的にヒットし、とくに当時勢いをもっていたカウンター・カルチャーの運動に多大な影響を与えた。日本では、カスタネダのことについては、最初に哲学者の鶴見俊輔氏が紹介し、社会学者の見田宗介氏(真木悠介の名で)、宗教学者の中沢新一氏がその著作で取り上げ、高く評価したことから広く知られるようになった。

    カスタネダは、オルダス・ハックスリーがLSD体験を記した『知覚の扉』を読んで幻覚性植物への関心をもつようになり、UCLAの人類学の学生として行ったフィールド・ワークのなかで、メキシコのヤキ族の呪術師で、カスタネダがドン・ファンと呼ぶ人物と出会い、そのもとで修行を行うようになる。ドン・ファンは、幻覚性植物などを用いることによって、カスタネダをさまざまな神秘体験に導いていく。

    ・・・

    逃亡中の高橋が、オウムの教団や麻原に対してどういった考えを持っているか、現状においてはまったく分からない。だが、彼が、精神世界や神秘体験について関心を持ち続けていることは間違いないであろう。あるいは1958年生まれという年齢からすると、20代に精神世界の運動に関心を持ち、そこからオウムに入信したのかもしれない。

    ・・・

     

    そういえば全然関係ないけどドンファンの愛犬ラブちゃんの死因ってけっきょく何だったんだろうか。カスタネダを著書で取り上げた真木悠介もまた野草社の雑誌「80年代」編集委員であり、ブタまるごと一頭食べるでおなじみ鳥山敏子と津村喬が90年代に出していた「賢治の学校」にも寄稿していた。

    「賢治の学校」誌には、セヴァンスズキ伝説のスピーチの訳者としてすでに辻信一の名前も出ている。2000年代以前は辻氏もセヴァンスズキもそこまで知られた存在ではなかったと思うが。

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/4811806212

     

    真木悠介『気流の鳴る音――交響するコミューン』

    http://sekibang.blogspot.com/2009/08/blog-post_1411.html

    見田宗介の真木悠介名義(日本の社会学界でこのように名義を使い分けている人は、この人ぐらいなのか? まるでエイフェックス・ツインみたいである)での代表作を読む。一九七七年の作品。最初の刊行からすでに三〇年以上も経っているが、今なお「鋭い……」と思わせられる作品であった。冒頭、ヤマギシ会について言及している部分があるが、これをほとんど好意的な感じで捉えているのも興味深い。ヤマギシ会といえば、いまやほとんどカルト扱い。基本的には批判的な文脈においてでしか登場しないものかと思っていたのだが、当時はそうでもなかったのだ、と思ってしまった。私自身、ヤマギシ会の存在を知る機会となったのは、学生時代のある授業においてであり、そこではやはり「人間の主体性を奪ってしまう洗脳的なカルト」というような感じで紹介されていた。一九七〇年代後半には、まだコミューンというものが存在しており、希望として捉えられていたのか、と思うと感慨深いものがある。

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