本場フランス

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    評価:
    英 隆,コリーヌ・ブレ
    集英社
    ---
    (1983-04)

    ソニー創業者の井深大と脳生理学者の大島清の対談を読むと、フリースタイル分娩や水中出産など妊婦が主体のアクティブ・バースにかんする話題があった。この対談がいつおこなわれたものか分からないのだが、話の内容からするとラマーズ法全盛期よりけっこう後なのかもしれない。

    大島氏はラマーズ法で有名な三森助産院の出産ビデオの監修もしていた。それが90年代くらいになると妊婦さんの好きな呼吸や姿勢で産んだらよいって話になってきて、ヒッヒッフーが形式化したラマーズ法はすたれてったと思われる。

     

    井深対談

    http://www.sony-ef.or.jp/sef/about/pdf/taidan12_13.pdf

    井深
      前に南フランスの方で...。  
    大島
      オダン。  
    井深
      ええ、そうです。自然な形の分娩、それも妊婦さんがどういう形でお産をしたいということが選べる。それで、家族が一緒にそこに住めるというような...。
    大島
      選ばして、あおむけにお産をすると言った人は1000人のうち2人しかいなかった。みんなほかにプールでお産するとか、それからいわゆる座産、立ち産を希望したんです。それで、だんなさんに支えてもたいたいと。いなきゃオダン先生で結構ですと。
    井深
      お父さんがお産に立ち会うっていう運動を起こすべきですね。いろんな意味で。  
    大島
      大変うれしいお話です。井深さんがそう言ってくだされば、ぼくなんかはすごくありがたい。  
    井深
      母乳の次にはそれを言わなければね。  
    大島
      まことにそう思いますよ。  
    井深
      病院側が寄せつけないから、そういうことになるわけなんですよね。 

    ・・・

    井深
      このごろ、だんなさんを入れるとか、お母さんを入れることは少し動き出したみたいですね。
    大島
      国立とか大きな病院はだめ。たとえば関西なんかの個人病院でホテル式でっていうのはあります。そういうことを売り物にして患者さんに与えている。ところが、大きなところはまだまだ。いわゆる医療出産のことをフランスの人たちは暴力的出産だと言っている。医者がハサミを持って生まれるまで待っているという話が漫画に書いてあります。

    ・・・

    大島
      水中産はいろいろやっているところがあって。  
    井深
      クリミア半島の近くの海でしているようですが、実際のビデオもあるんですよ。クリミア半島で、もともとソ連の人たちがやっていた方式を、フランス人がフランスで今やっている。
          水中お産をして、そのまま海や水の近くで生活させるんですよね。もちろん、住むのは陸上ですけれども、しょっちゅう水の中に入れるようにすると、すぐにイルカみたいにきれいな泳ぎになっちゃうんです。
    大島
      生まれてからずっと水中生活ですか。もちろん出たり入ったりしているわけですね。  
    井深
      ええ。そうすると、赤ちゃんが少なくとも5分間は入ったままで平気なんです。  
    大島
      赤ちゃんというのは0歳ですか。  
    井深
      もちろん、0歳です。
    長い子は15分間も平気でもつようになるんだそうですよ、全然、息をしないで。
    きっと、それは胎内の延長のようなものなんでしょう。
    ・・・


    オダン先生というのは水中出産で有名なフランスの産科医で日本では「バース・リボーン―よみがえる出産」が1991年に訳されているが、オリジナルは1984年に出てるようだ。画像検索すると日本版の帯に「 “ラマーズ法” “暴力なき出産” を生んだフランスからまた自然出産法が登場した」って書いてて、確かにいわれてみるとラマーズとかルボワイエってフランスの産科医だし、オリーブ誌のリセエンヌ路線しかり30年ぐらい前はフランスが最先端だったのか、オリーブ少女が中年にさしかかった2000年代に主婦のほっこり丁寧なくらしとしてニューエイジは復興したのだった。

    フランスのジャック・マイヨールというイルカ好きな素潜りの達人がリュック・ベッソン監督「グラン・ブルー」て映画(1988)になってて、おそらく同作品がくしゅくしゅソックス時代のイルカブームに強大な影響与えてるのだが、マイヨール氏はオダン先生とも親交があった模様。水中出産自体が、昔人間が水中で生活してたとかイルカ実はすごい頭いいししゃべれるって思想にもとずいてると思われ、夫立会いのラマーズ法どころかイルカ立会いっていうのもあったはず。

     

    映画「プルミエール 私たちの出産」予告編(YouTube)

    https://www.youtube.com/watch?v=zQIHHQtTr1M

     

    プルミエール 私たちの出産(Wikipedia)

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB_%E7%A7%81%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E5%87%BA%E7%94%A3

    『プルミエール 私たちの出産』(プルミエール わたしたちのしゅっさん、原題:Le Premier Cri)は、2007年のフランスのドキュメンタリー映画。
    概要

    文化・人種・環境が全く異なる10カ国の出産事情を監督ジル・ド・メストルが追った、ドキュメンタリー作品。出産を皆既日食と結びつけ、神秘的なものとして扱っている。ディズニー・ネイチャー・プロダクションの第1回作品。キャッチコピーはあなたのために生きていく。

    2007年、セザール賞最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされた。

    日本ではPG-12指定。

    監督のメストルは男性で、自国フランスで出産を扱ったドキュメンタリーのテレビ番組を担当したことから出産に興味を持ち、今回の映画の製作に至ったという。
    内容

    アメリカ:ヴァネッサ(32歳)
        医療機関に頼らず、自宅での自然分娩を選択。
    タンザニア:ココヤ(約40歳)
        マサイ族の女性の出産を初映像化。
    日本:由起子(31歳)
        愛知県岡崎市にある吉村医院で昔ながらの生活をしながらの出産。
    ベトナム:ツーズー病院
        1日に120人以上が生まれる、世界最大の産院に密着。
    フランス:サンディ(28歳)
        臨月まで舞台に立ち続けたダンサー。
    ロシア・シベリア:エリザベート(21歳)
        マイナス50度の極寒の環境での出産。
    メキシコ:ガビー(30歳)&ピラー(32歳)
        イルカと共に水中分娩に挑む。
    ブラジル:マシュトンリ(21歳)
        アマゾン川流域に住む先住民族カポヤ族の出産。
    ニジェール:マニ(25歳)
        トゥアレグ族の砂漠での出産。
    インド:スニータ(35歳)
        極貧生活の中での出産。

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/4768433774

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/4062760622

     

    https://www.amazon.co.jp/dp/B0051CEPFI

     

    水中出産結社に入会する道はじつにさまざまである。まず水中で出産した母親たちがいる。水の世界に対する人間の適応力に強い関心をよせている人たちがいる。『イルカと、海へ還る日』の著者であるジャック・マイヨールもその一人だ。彼は酸素ボンベをつけずに水深100メートル以上も潜れる稀有なダイバーである。マイヨール自身、モスクワのチャルコフスキーのもとを訪れたり、人間と水についての番組を制作するために、日本のテレビクルーをつれて、ピティヴィエ病院を訪れたりしている。またイルカへの関心がきっかけになった人たちもいる。水中出産結社のメンバーの一部には『リバーシング』というセラピーを行っているセラピストたちがいる(リバーシングとは、意図的な通常とは異なる呼吸をすることで、「退行状態」や「変性意識」を引き起こす方法であり、そのプロセスは、誕生のような過去の体験が刻印されている脳の原始的部分を活性化するものと考えられている)。そのほかには、『水中出産結社に接することによって人生が大きく変わってしまったジャーナリスト、作家、プロデューサーたちがいる。また、ヨーロッパ、アメリカ合衆国、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカでは、勇敢にも家庭における水中出産を介助してきた助産婦たちがいる。さらに医師たちのなかにさえ、水中出産結社に加わってくる人たちがいる。

    (ミシェル・オダン著「水とセクシュアリティ」48ページより)

     

    景山民夫、鯨に逢いに行く。ライアル・ワトソン、坂本龍一、他。(YouTube)

    https://www.youtube.com/watch?v=hrPeRhvlDMk

    「ヒトはどこから来たのだろうか。多くの命がこの地球に生まれ育った。ある者は地に住み、ある者は風に舞い、水に泳いだ。クジラは海に戻り、すばらしい知性をはぐくんだ。しかしヒトはどのようにして知性をはぐくんだのだろうか」

    ライアル・ワトソン「人類の進化の歴史の中には600万年の空白があります。そこに何か秘められた謎があると私は思っています。私たちの遺伝子の90%まではいまだにゴリラやチンパンジーと同じものです。この謎の時代にゴリラやチンパンジーに起こらなかった何かが私たちに起こったのです。言葉を持つ2本足の動物になり、体毛も失ったのです」

    「1000万年前、地球を覆っていた氷河が溶け始めた。氷河期の終焉は地球を温暖化し、水面は200mも上昇した。地上は乾燥して砂漠の出現となった。ヒトの祖先は森を捨てて水辺へ。さらに食べ物の豊かな水の中へと入った。水中生活はヒトに何をもたらしたのか。私たちはクジラと同じように体毛を失った。そして水中での生活が2本の足で立つことを容易にした。新生児たちはまったく水を怖がらず、本能的に水の中でのふるまい方を知っている。やはり私たちは水の中で暮らしたのだろうか」

     

    水生類人猿説(Wikipedia)

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%94%9F%E9%A1%9E%E4%BA%BA%E7%8C%BF%E8%AA%AC

    アクア説(アクアせつ、英: Aquatic Ape Hypothesis: AAH, Aquatic Ape Theory: AAT)とは、ヒトがチンパンジー等の類人猿と共通の祖先から進化する過程で、水生生活に一時期適応することによって直立歩行、薄い体毛、厚い皮下脂肪、意識的に呼吸をコントロールする能力といった他の霊長類には見られない特徴を獲得したとする仮説である。

    ・・・

    概要
    霊長類においてはヒトにのみ見られるとされる特徴のいくつかが水棲哺乳類・水棲鳥類では一般にみられることが、この説の根拠となっている。およそ500万年より以前の人類の祖先の化石が発見されていないミッシングリンクと呼ばれる時代におけるヒトにつながる進化の過程について提唱されている仮説のひとつ。

    ・・・

    「ワトソン博士の仮説に導かれてわれわれはロサンゼルスへ向かった。ロサンゼルスのナチュラルチャイルドバースセンター。この産院はもっとも自然な出産のひとつとして水中出産を指導している。1960年代ソビエトのツワルコフスキー博士によって広められたこの出産に賛同者は多い。母親の体は楽で生まれてくる子どもにもよいというのはその理由だ」

    「このナチュラルバースセンターでは胎教にも力を注いでいる。ペンシル型のスピーカーで胎児に音楽や自然音を与え聴かせているのだ。その胎教育のひとつにクジラの鳴き声がある。クジラとヒトの思わぬ出逢いである。はたして胎児はクジラの声にどのような反応をしめすのか」

    イゴール・スミルノフ博士「通常胎児は妊婦のお腹の中では手や足を縮めて身を守るような格好をしているんですが、クジラの声を聴いているときの胎児はまるで水の中を泳いでいるような動作をします。クジラの声の中にはいろんな情報が入っていてきっと胎児に水の中にいるんだということを伝えているんだと思うんです」

     

    オダン著「水とセクシュアリティ」(1995)の訳者は赤ちゃんじつは病院出産嫌がってるの根拠になってるルボワイエ「暴力なき出産 子どもは誕生をおぼえている バースサイコロジー」(1991)と同じくホリスティック教育の中川吉晴同志社大学教授である。前述したように大島清はラマーズ法のビデオ監修してたこともあったし、井深対談の中でも夫の立会いについてふれられているが、意外なことにオダン先生は夫立会いを疑問視していたと経血コントロールでおなじみの三砂ちづるが言うてた。

     

    三砂 出産時の夫の立会いについてもいろいろな議論があります。ミシェル・オダンという水中出産を広めたことで有名なフランスの産科医は、出産時の夫の立会いを肯定的に見ていないようです。

    ・・・

    彼は、自然なお産の世界ではカリスマ的存在です。そのオダンが、90年代の終わり頃にブラジルに招かれて講演をし、「出産の場に男はいらないと思う」といってしまったのです。ブラジル側で彼を招待した自然なお産を推進していたグループの人たちは、人間的な出産の第一歩として、夫の出産時の立会いを推進していたものですから、物議をかもすことになりました。

    お産にかかわっていると、出産の場に男がいることは不自然だと気づきはじめるということはわかるような気がします。オダンも長い間自然なお産に向き合ってきて、やっぱり女性がこういう状態のときには、そもそも男はいない方がいいんだと思ったということでしょう。

    お産が近づいてくると、エンドルフィンと呼ばれる、ほわーっと幸せになるようなホルモンが出ているのだそうです。お産の前には陣痛がきて痛いときと、その波がおさまる間歇期が繰り返されるのですが、「間歇期に引き込まれるように眠くなる。なんだか幸せになる」というような話を女性から聞きます。つまり、エンドルフィン・ハイの状態ですね。自然の痛み止めともいえるでしょう。

    このエンドルフィンがハイのときというのは、恋に落ちるのと同じような状態になるそうです。つまり、周りの人を好きになってしまうような状態。これはきっとほんとうは、生まれてくる子どものためにあるのではないでしょうか。生まれてきたその子にもう無条件に恋してしまう。「もう、この子だけでいい」と思い込むような、そういう仕組みかもしれません。

    辻 なるほど、なるほど、よくできている。

    三砂 だからこそ、オダンは「出産の場に男はいらない」といったのでしょうね。男がいると、赤ちゃんに向かうべき気持ちが男の方に行ってしまう。まあ、夫がそばにいると夫への愛も深まるわけですから、それはそれで意味があることなのですけれどもね。

    ・・・

    現実に、多くのお産の場で、夫の立会いは認められるようになっています。ただ、病院では、マスクと帽子とうわっぱりをつけさせられて、ただ立っているだけの夫の「立会い」もまだ多いようです。助産所ではほとんど立会い分娩をやっていますが、「立会う」どころではなく、夫は産婦を支えたり、マッサージしたり、どんどん能動的にやることが求められていて、「立会う」などというのんきなものではありませんね。まさにいっしょに産んでいるという感じです。

    また、日本の助産所では、夫だけでなく、子どもも立会えるところが多いですね。これはあまりほかの国では聞いたことがありませんが、子どもにはとてもいい体験になっているようです。自然なお産はおどろおどろしい場ではなく、おだやかで、よい雰囲気ですから、2,3歳の子どもでもお母さんをかいがいしく世話しますし、分娩の様子を真剣に見守っています。家族みんなで分娩を見守る、これは、日本の助産所ならではのことでしょう。家族出産ですね。

    ・・・

    (辻信一・三砂ちづる「だきしめてスローラブゆるやかにしなやかに男と女の性と愛」50〜55ページより)

    産科医院にプールを設置する利点について訊ねられるとき、私はいつも「それは重要な問いを導き出すためですよ」と答えている。現在までのところ、出産は、私たちの社会のなかで二つの問いを導きだしてきた。最初の問いは「出産はどのように管理できるか」というものだ。これは医師たちにとって最優先の問いである。この問いのために、産婦たちはあおむけに寝かしつけられることになった。そして出産が大病院に集中するようになり、分娩監視装置が現代の産科医療のシンボルになった。この問いのおかげで、出産のように自然な性的営みに属している出来事を観察したり管理すると、その自然なプロセスが抑えられてしまうということが、医師たちにはわからなくなってしまったのだ。

    二つめの問いは、「お産をしている女性をどのように援助できるか」というものだ。この問いのおかげで、女性たちは、あるべき出産の仕方を他人から教えてもらうことになった。フェルナン・ラマーズは、女性が読み書きや泳ぎ方を習うように、出産の仕方も習得しなくてはならないと言った、アメリカでは、ロバート・ブラッドレーが、女性も男性も出産時にそれぞれ果たすべき役割があり、男性にはコーチ役がつとまると考えた。ここでの問題点は、出産というものを、意識ではコントロールできないプロセスとして捉えることから、ますます遠ざかっていくということだ。意識でコントロールできないプロセスを援助することなど、そもそもできるものではない。それをやろうとすれば、かえって妨げとなるのが、せきのやまである。

    ・・・

    その問いの答えは、人間以外の哺乳動物たちが教えてくれる。哺乳動物にとって、出産は孤独な営みである。出産まじかになると、彼らは仲間から離れて独りになる。ふだんは群れをなしている羊は群れを離れて出産し、夜行性の動物である野ネズミは昼間に出産する。日中草を食べてくらす馬は夜間に出産する。出産をするメスにとって一番重要なのは、天敵を避けることではなく、同じ種の仲間から自分をまもることなのだ。

    ・・・

    プライバシーの必要性という点からみると、とりわけ病院のような環境においては、産婦はプールに入ることによって、独りになり、無用な刺激から身をまもる機会が得られることになる。また、広くて落ち着かない部屋にあるバスタブより、狭い個室についているシャワーのほうが、出産のプロセスを促進する効果があるということも、プライバシーという点から説明がつくだろう。最後にもうひとつ、水には、イライラした介助者たちを落ち着かせたり、せかせか動きまわろうとする気持ちを静めてくれる効果があるということも忘れてはならない。

    (ミシェル・オダン著「水とセクシュアリティ」39〜42ページより)


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