時泥棒と時間泥棒の違い
その31 「時泥棒」(NPO法人 江戸しぐさ)
http://www.edoshigusa.org/column/vol31/
昔、江戸では 「時泥棒は10両の罪」といった。
10両は今のお金で100万円ぐらいに当たる。
10両を盗むと死刑になった。
時泥棒はそれほどの重罪と認識されていた。
なぜ、江戸の人は時間を大切にしたか。
日頃、できることから地道に積み上げなければ
相手に迷惑をかけるし、
やがて自分も信用を失うことを実感していた。
定刻より5分前を合言葉にしたい。
私の中で江戸しぐさ、特に「江戸っ子大虐殺」はまちがいなく左翼であるにもかかわらず、この「時泥棒」は左翼が好む江戸像を逸脱している。というのも江戸が好きな左翼というのは基本的にロハスであり、時間(スピード・効率)に支配され人間が人間らしさを失ってしまう現代社会をもっとも批判するところとしているのだ。
だからこそ世界じゅうで採用される近代的な暦や時間よりも、二十四節気や月の満ち欠け(エコ+暦→えこよみ)を好んだり「スローライフ」を提唱したりといったことにつながっている。よって普通は「江戸を見習ってゆっくりていねいな暮らし」となるくらいが自然なわけで、時間厳守というのは史実にもとずかないばかりでなくロハスとしてもまったくモグリな発想だ。
「江戸っ子大虐殺」 は越川禮子という左翼のジャーナリストが白人によるインディアン(先住民)虐殺を参考に創作したものであろうが、時泥棒ほか公共広告機構や教科書によって一般的に広まったまことしやかな「しぐさ」そのものを考案したのは、おそらく芝三光といって越川氏とはまた別の人間である。だからもともと左翼とは無関係の江戸ファンによる妄想上のマナーだったのが、越川氏によって江戸っ子大虐殺などの左翼なオカルト要素が加味され、現代社会(明治以降の日本)批判の色を濃くしている、といったところであろう。
江戸しぐさの話題は以上なのだが、70年代に岩波書店で翻訳されたミヒャエルエンデの童話「モモ」の中で「時間泥棒」という悪者が出てくる。これは江戸しぐさの時泥棒と名前こそ似ているが、別に約束に遅れてきて時間を奪う泥棒ではなく、むしろ人々を忙しくさせる現代社会のシステムに一石を投じた概念であって、どっちかというとロハスにはこっちのほうが人気爆発している。
http://www.amazon.co.jp/dp/4001106876
商品説明
冒険ファンタジー『はてしない物語』の著者であるミヒャエル・エンデが贈る、時間どろぼうと風変わりな女の子の物語である。文章のみならず、モノクロの挿絵までもエンデ自身が手がけた本書は、1974年にドイツ児童文学賞を受賞。小学5、6年生以上から大人まで幅広い年代の人たちが楽しめる、空想力に富んだ小説だ。 円形劇場の廃墟に住みついた、もじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な少女モモ。黙って話を聞くだけで、人の心を溶かし悩みを解消させる能力を持った彼女のまわりには、いつもたくさんの大人や子どもたちが集まっていた。しかし「時間」を人間に倹約させることにより、世界中の余分な「時間」を独占しようとする「灰色の男たち」の出現により、町じゅうの人々はとりとめのないお喋りや、ゆとりのある生活を次第に失っていく。 本書は、時間どろぼうである「灰色の男たち」とモモの対決というスリルあふれる展開を通して、1分1秒と時間に追われる現代社会へ、警鐘を鳴らしている。たとえば、モモの友だちだったニノが「スピード料理」の店を始め、大繁盛しているせいで他人とわずかな世間話をする暇もないというように、時間を盗まれた人たちは、現代の私たちの姿そのものとして描かれている。昨今、モモのように際限のない時間の中で、空想をめぐらせ楽しむ生活はほとんど忘れられている。子どもばかりでなく、忙しい大人たちにも夢見ることの大切さを教えてくれる本だ。(砂塚洋美)
内容紹介
時間に追われ,落ち着きを失って,人間本来の生き方を忘れてしまった現代の人々.人間たちから時間を奪っているのは,実は時間どろぼうの一味のしわざなのだ….この一味から時間をとりもどし,人生のよろこびを回復させたのは,どこからか突然あらわれた無口な少女だった.時間の意味を問う異色のファンタジー. --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
スピードや効率を上げるのはなぜかというと、時間を節約したいからである。だがスピードや効率で節約された時間を何に使っているのか?時間を節約するために、現代人はむしろ大切な時間を失っているのではないか?というのが、モモをはじめとするロハス野郎の問いかけであると解釈している。
そういえば歌手の小沢健二が書いた「うさぎ!」っていう童話が、さわりだけ読んでも「灰色の男たち」ならぬ「灰色」っていう登場人物が出てきたりとモモにそっくりだったけどもあれはアリなのだろうか。ちなみに小沢氏の父親はドイツの昔話の研究家で9条の会で宇都宮健児を応援していた。
小沢氏の父以外にもエンデとかシュタイナーの本を出しているドイツ文学者の子安美知子(ミヒャエルエンデはシュタイナー学校出身らしい)、ドイツ翻訳家の池田香代子も9条だ。てことでドイツと絵本と憲法9条とロハスの相性ばっちり具合が気になった。
- 2016.04.30 Saturday
- ロハス*ほっこり
- 01:04
- comments(0)
- trackbacks(0)
- -
- -
- by 悩み